仲秋の名月、一年で一番美しいお月さまを眺められる日ですね。雨もあがって、十五夜お月様を楽しめそうです。でも正確な満月は一日ずれて明日なのですね。
「雪月花」というぐらいですから、月を詠んだ名歌はそれこそ星の数ほどありますよ。
先ずは「万葉集」から。万葉の人々には、いつも月が身近にあったのですね。およそ160首歌われています。
♪天(あめ)の海に 雲の波立ち 月の舟 星の林に こぎ隠る見ゆ
柿本人麻呂歌集なんて壮大な天体ショーでしょう。千三百年前にこんなにメルヘンチックな歌があったのですね。
♪月夜よし 河音(かわと)さやけし いざここに 行くも行かぬも 遊びてゆかな
大伴 四綱
何も説明がなくても情景が浮かんできます。しらべも美しいし、まさに声に出して詠みたい、歌いたい代表のような歌ですね。
舞台は九州、遠の朝廷(みかど)大宰府の宝満川のほとり、阿志岐という所です。現在は筑紫野市になっていますが…。
政庁から4キロぐらい、ここから米ノ山峠を越えると奈良の都へ通じています。宿場になっていたのでしょうか。
大宰の帥の大伴旅人が大納言になって都へ帰るときの送別の宴で歌われました。さらさら流れる川の音をきき、月を愛でながらの宴会なんて素敵ですね。
♪夕闇は 路たづたづし 月待ちて 行かせ吾が背子 その間にも見む
大宅女
これも九州、豊前の国の人の歌です。「あなたが好きだからもっと居て…」なんて言わないで「宵闇は路が危ないから、月が出てからお帰りなさい…」いつまでも一緒にいたい気持がせつせつと伝わってくるでしょう。
江戸時代の良寛さんも万葉の歌をふまえて美しい歌を詠みました。
♪月読みの 光を待ちて 帰りませ 山路は栗の いがの多きに
良寛が親しくしていた貞心尼という女性との歌のやりとりです。きれいなお月様を見ると、誰でもやさしい気持になるのですね。今夜の十五夜、楽しみです。
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