一つ松 幾代か経ぬる 吹く風の 音の清きは 年深みかも
「万葉集 市原王」天平16年(744)正月11日、「
活道(いくぢ)の岡に上りて、一本の松の下に集ひて宴せる歌」とあります。
聖武天皇の御代、一時的に奈良を離れ、山城の恭仁に都をおいたときの歌です。市原王はあの名高い志貴皇子の曾孫にあたる人、『万葉集』に九首の歌が載せられています。
新春の青空に風をうけて力強く立っている老松を見上げ「どれほどの年月が経ったのだろう」と詠嘆しています。松風の音の清々しさに永遠の時の流れを感じます。おおらかな風格と清らかなひびき……お正月にふさわしく、格調高く美しい一首ですね。朗々と声に出して詠ってみましょう。
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