我が里に 大雪降れり 大原の 古りにし里に 降らまくは後
『万葉集』天武天皇「天花」「銀花」「寒花」…どれも雪をさす美しい言葉です。豪雪地帯の人たちにとっては雪はそんな風雅なものではないのでしょうね。「雪のイメージは灰色」と聞いたことがあります。想像を絶する大変さなのでしょう。申し訳ない気がしますが、西日本の私たちには、雪はあくまでも真っ白、白銀ですよね。
古代の奈良盆地でも、白銀の世界は珍しかったのでしょう。あの偉大な天皇が子どものようにわくわくして、愛する女人に歌を届けたのです。
そしてこんな歌も
我が背子と 二人見ませば いくばくか この降る雪の 嬉しからまし
『万葉集』藤原皇后藤原皇后とは、聖武天皇のお后、光明皇后のことです。真偽取り混ぜて逸話の多い方ですね。
いつか奈良の平城宮蹟の資料館で、聖武天皇と光明皇后が写経の巻末にサイン?をした真筆を拝見したことがあります。細く繊細な聖武の筆跡に比べ、「藤三嬢」と記された文字は太く力強く、頼もしく感じました。
藤原氏が台頭し権謀術数がはりめぐらされた中で傷つき、逃れるようにさ迷った聖武。そんな夫の傍らで、光明は現実から目をそむけませんでした。藤原の娘であることを大きな支えとして、真摯にまつりごとに取り組んだのではないでしょうか。
そんな彼女の可愛らしさをのぞかせてくれる万葉の一首です。
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