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彦星の楫の音聞ゆ…     8月25日   旧暦文月六日

明日は旧暦の文月七日、七夕です。

♪天の河 霧立ち渡り 彦星の 楫の音(と)聞ゆ 夜の更けゆけば   

「万葉集」作者不詳

♪彦星の 妻迎へ舟 漕ぎ出(づ)らし 天の川原に 霧の立てるは   

「万葉集」山上憶良


紀元前の中国で生まれた七夕(しちせき)伝説は、奈良時代に日本に伝わりました。「憶良」も遣唐使の一員として唐に渡っています。そのときに七夕のしきたりを持ち帰ったのかもしれません。

日本にもともとあった「棚機女(たなばたつめ)」の言い伝えと一緒になって今に伝わる「たなばた」の行事が生まれました。

男が女のもとに通う妻問婚の風習にもぴったりで、当時の知識層の間で大流行したのでしょう。「万葉集」にはたくさんの七夕の歌が詠まれています。

明日の夜は、空を見上げて星の物語を紡ぎましょう。晴れたらいいな!






涼 二題     8月23日   旧暦/文月四日 処暑

09-8-16ツアー山鹿167-3

いつも季節の香りいっばいの写真を送ってくださる稲山さんから、涼味あふれる映像が届きました。早速おすそ分けです。熊本県山鹿付近だそうですよ。

「詩仙」と称された「李白」の爽快な詩を二題、どうぞー

      「廬山の瀑布を望む」     李白

   日は香炉を照らして紫煙を生ず

   遥かに看る 瀑布の長川を挂(か)くるを

   飛流直下三千尺

   疑うらくは是れ銀河の九天(きゅうてん)より落つるかと


日の光が香炉峰を照らして、峰は紫にけぶっている。はるか彼方に、大きな滝が長い川をたてかけたように流れ落ちているのが見える。飛ぶようなその滝の勢いは、まっすぐに三千尺も流れ落ちる。まるで銀河が天空から流れ落ちるのではないかと思われる。

「白髪三千丈」の李白です。スケールが大きくて涼しくなりませんか。


       「(つと)に白帝城を発す」     李白

   朝(あした)に辞す 白帝彩雲の間

   千里の江陵一日にして還る

   両岸の猿声啼いて住(や)まざるに

   軽舟すでに過ぐ 万重(ばんちょう)の山
     


朝早く、美しい朝焼け雲の中に浮かぶ白帝城をあとにして、千里も離れた江陵まで、わずか一日で帰ってゆく。両岸の猿がまだ鳴きやまないうちに、わたしの乗った軽やかな小舟は、幾重にも連なる山々の間を通り抜けていた。

スピード感あふれて爽快でしょう。先週「名詩・名文を声に出して読む会」で、暑さを忘れて?愉しみました。




あが立ち嘆く息と知りませ   8月17日   旧暦/水無月廿七日

♪君が行く 海辺の宿に 霧立たば 吾(あ)が立ち嘆く 息と知りませ       「万葉集」


まだまだ厚さ満開ですが、ブティックのウインドウも、音楽や文学の世界でも、夏から秋に衣更え。身の周りに「秋」が増えてきました。

「蒙霧升降(もうむしょうごう)」という言葉をご存知ですか。あまり聞きなれなくて、パソコンでも変換されませんでしたが、季節の言葉です。8月17日〜22日ごろまでの自然の様子をあらわす言葉で、濃い霧が立ち込める頃、という意味です。

一年を二十四等分した「二十四節気」は気象予報士の皆さんが良く解説してくれるようになって、日常にすっかり定着してきました。その「二十四節気」をさらに細かく分けたのが  「七十二候」です。およそ五日おきに季節の言葉が添えられています。

「気候」って言うでしょう。この「二十四節気」の「気」と「七十二候」の「候」をくっつけた言葉です。

蒙霧升降…深い霧をまとう季節、大地が霧の衣をまとうような…

古代の人々はため息が霧になると思っていたのですね。

「…吾が立ち嘆く息と知りませ」
1300年以上も昔、遠い海のかなたへ夫を見送る妻の歌です。朝鮮半島の新羅へつかわされる「君」、生きてふたたび逢う日が来るのでしょうか。切ない思いの込められた歌です。

そして、遣新羅使人たちの船が瀬戸内海「風早の湊(広島県安芸津町)」に停泊したとき、
海辺には霧がたなびいていました。

♪わが故に 妹(いも)嘆くらし 風早の 浦の沖辺に 霧たなびけり       「万葉集」






秋立つ日     8月7日   旧暦/水無月十七日

 やっと梅雨が明け、真夏の到来!と思ったら、暦ははや立秋です。
それにしても暑さ満開! 残暑お見舞い申し上げます。

「古今和歌集」より 「秋立つ日によめる」歌を二首

♪ 夏と秋と ゆきかふ空のかよひじは かたへすずしき 風やふくらむ

                        凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)

♪ 秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる

                          藤原敏行


そして 夏目漱石 の俳句です

♪ 秋立つや 一巻の書の 読み残し      




朝顔     8月4日   旧暦/水無月十四日

     朝顔のつる     金子みすゞ


       垣がひくうて
       朝顔は、
       どこへすがろと
       さがしてる。

       西もひがしも
       みんなみて、
       さがしあぐねて
       かんがえる。

       それでも
       お日さまこいしゅうて、
       きょうも一寸
       またのびる。

       のびろ、朝顔、
       まっすぐに、
       納屋のひさしが
       もう近い





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